雨霞みのブナ林もまた一興

010_1.jpg

今日は、ワシにしては珍しくの雨降りじゃ・・・
が、今回の行き先は雨もまた良く似合う秋田が誇る大自然「白神山地」なのじゃよ。

待ち合わせ場所の白神山地世界遺産センター藤里館で9:30集合の予定が、時間配分を間違い7:30についてしまったワシ。せっかくなので皆さんが来る前にセンターのすぐ周辺にある「峨瓏峡」や「銚子の滝」「権現の大イチョウ」などのスポットを一人散策。センターに戻ると今回ご同行の皆さんがちょうどお集まりじゃ。
まずはこのセンターで、今回ガイドを務めてくれた白神自然アドバイザーの斎藤栄作美(えさみ)さんから簡単なレクチャー。
これから向かうところは、いわゆる世界遺産として登録されているところではなく「岳岱(だけだい)」と呼ばれる白神山地の一角。
実は、世界遺産に登録されている地域は入山禁止になっているそうなんじゃ。なので、我々が訪れる事ができるのは白神山地の中の世界遺産地域より外側のエリアという事になるんじゃが、その中でもっとも世界遺産地域の雰囲気に近いといわれているのがこの「岳岱」らしいんじゃな。
まずはそこまでクルマで移動じゃ。道程はセンターから約30分、徐々に山道がきつく、ところどころ道路状況も悪いので安全運転を心がけるべきじゃな。

010_2.jpg

岳岱自然観察教育林についたワシたちは雨具に着替え、いざブナ林へ。ん〜このブナの葉はまるで針葉樹みたいじゃな...て、こりゃ杉の木じゃないかね?
そう、ガイドの栄作美さん曰く、この辺(というか日本中)はかつて、ブナの木がどんどん伐採され、建材などに扱いやすい杉の林に変えられていったのだとか。
どんどん減っていくブナの森をどうにか残そうと、長年にわたって保護運動が行われ、そして今日の世界遺産としての白神山地があるという訳じゃ。


010_3.jpg

「佐々木さん、こっちこっち」
栄作美さんに呼ばれて行った先には大きなブナの木の根元から顔を出した小さな苗木が。
「これがブナの赤ちゃんなんですよ」
手付かずの自然の中で、ブナの木々はそれぞれの生存をかけてお互いに競争しあい、縄張りを広げ子孫を残していくそうじゃ。よく見てみると巨大なブナの木を中心に、その周りにそれよりも若い木が立ち並んでおるんじゃが、これらはその子孫なんじゃとか。
一方でブナは、その葉を地面に落とし、微生物などの生き物と共存する事で、多彩な生態系を育みつつ、ブナ自身にとっても生育しやすい環境を構築する事でバランスを保ちながら長い年月を過ごしてきておるそうじゃ。
ワシたちが普段、森や林に抱く感情といえば「癒し」とか「和み」とかそういう平穏なものが多いが、その風景の主人公である植物や動物たちはその場所で生き延びるために、知恵をこらし必死に競い合っておるという事なのじゃな。
そういった面にも思いを馳せながら眺めるブナ林もまた、大自然の偉大さというか、ワシら人間のちっぽけさを感じさせてくれるのう。

010_4.jpg

と、やや感傷的な自分に酔っていたワシの鼻に栄作美さんがムギュッと何かを押し付けてきおった。なんじゃ?嫌がらせですか(-_-;)
「ほら、コレ嗅いでみて」
ム、甘くてエエ匂いじゃ〜。何とかという大きな花を咲かせる木の、ガクの部分なんだとか。
そう言われれば、ブナ以外の木も色々生えているんじゃね。


010_5.jpg

キョロキョロしながら先に進むと、二股に分かれた大きなブナの木を発見。
栄作美さん「兄弟ブナと呼んでます」

波の谷間に〜ってのとは違いますぞ。
この木は、兄弟という名の通り、1本の木が二股になっているのではなく、2本の木が寄り添って立っているのだとか。それぞれの木のテリトリーにそれぞれの子ブナ、孫ブナが育っているんじゃ。


010_6.jpg

さらに進むとなんとなく違和感の無いというか見た事のある感じの風景。
そう、パンフレットや雑誌などで白神山地を紹介する時に、殆どと言っていいくらいにココの写真を使うのだとか。
なるほど、それで見慣れている感じを受けたわけじゃな。


010_7.jpg

途中、クマが引っ掻いた傷跡を発見。



010_8.jpg

大きな木のウロで佇むワシ。ワシもそろそろ仙人のようなオーラが出てきておるとか言われる始末・・・


010_9.jpg

発酵中の白神酵母パン・・・ではなくモリアオガエルの卵。水中にはオオサンショウウオの卵もありましたぞ。


010_10.jpg

そうそう、一番上の大きな写真でワシが拝んでおるのが、岳岱のシンボル「400年ブナ」
一般的にブナの寿命は300年とされておるそうじゃが、この木は推定樹齢400年前後との事。
ワシも長生きできるように拝ませて頂きましたぞ。

一回りしてややノドが乾いてきたところにちょうど湧き水が。ブナ林が育んだ白神山地の天然水で喉の渇きを癒すのじゃ。


010_11.jpg

...と、後半やや早足での説明じゃったが、このように岳岱は白神山地を体感するのに非常にオススメの場所なんじゃよ。
晴れていれば木漏れ日がキラキラと気持ちよかったんじゃろうが、雨霞みのブナ林もまた風情があるというか、ブナのイメージにマッチしていてイイ感じですぞ。

もちろん自分たちだけで行く事も出来るわけじゃが、ただブラリと散策しただけでは、このブナ林や白神山地というモノの真意というか深い意味合いを知る事ができないかも知れんから、ぜひ栄作美さんの様なガイドの人をお願いして、解説・案内をしてもらう事をご提案させて頂きたいと思いますぞ。



大きい地図はこちら

岳岱自然観察教育林

秋田県山本郡藤里町藤琴字里栗63 TEL 0185-79-3005

住所は岳岱などへ行く際の拠点となる白神山地世界遺産センター藤里館を示しておきますぞ。ガイドさんをお願いする際の集合場所ともなっておりますのでな。

情報提供・協力 : 山本地域振興局

秋田県北部広域観光案内所さん |2009.06.24 |返信

岳岱自然観察教育林でお会いした際は
お世話になりました。ありがとうございました。
花火大会の時に能代にいらっしゃるのを
楽しみにお待ちしております。

PAGE TOP